先月発表されたメガバンク3社の中間決算は、昨年に引き続き、「過去最高益」、「親会社株主純利益の通期予想並びに予想配当金の上方修正」、といった言葉が並ぶ素晴らしい内容であった。その中身を簡単ではあるが見てみる。
目次
決算の全体
24年度上期実績(単位:億円) (カッコ内は前年同期比) | |||
三菱UFJ | 三井住友 | みずほ | |
連結業務粗利益 | 29,118 (+17%) | 20,453 (+13%) | 15,206* (+16%) |
連結業務純益 | 13,053 (+20%) | 9,182 (+19%) | 6,435* (+21%) |
親会社株主中間純利益 | 12,581 (+36%) | 7,252 (+38%) | 5,661 (+36%) |
- 3社共に連結業務粗利益で2桁成長、親会社株主中間純利益では3割強の成長を実現しており、昨年に続いて極めて好調な決算となった。
- 親会社株主中間純利益の増加要因には、三菱UFJ、三井住友は政策保有株式の売却が進展して三菱UFJは3,639億円、三井住友は2,942億円の大口の売却益計上したという一過性の要因も含まれているが、連結業務粗利益、連結業務純益で2桁成長を実現したのは、円金利の上昇や円安といった追い風もあったとはいえ、素晴らしい決算となった。
- なお、連結業務粗利益の内訳を見ると、みずほは他の2社とは異なる動きをしており、ここはもう少し詳しく見ていく。
連結業務粗利益の内訳
24年上期連結業務粗利益の内訳(単位:億円) (カッコ内は粗利益総額に占める割合) | |||
三菱UFJ | 三井住友 | みずほ | |
資金利益 | 15,085 (52%) | 11,263 (55%) | 4,828 (32%) |
役務取引等利益 | 9,080 (31%) | 7,546 (37%) | 4,027 (26%) |
特定取引利益 +その他業務利益 | 4,244 (15%) | 1,597 (8%) | 6,047 (40%) |
- 連結業務粗利益の内訳を見ると、三井住友は「資金利益」と「役務取引等利益」の割合が大きく、合算で全体の9割を占める一方で、みずほは「特定取引利益+その他業務利益」の割合が40%と極めて高いことが特徴。
- これを以下に記載の3期前(21年9月期)の内訳と比較すると、三菱UFJと三井住友は「資金利益」と「役務取引等利益」を大きく伸ばしている一方で、みずほは「資金利益」は横ばい、「役務利益」の増加額も+約700億円と他の2社に比べて小さく、その一方で「特定取引利益+その他業務利益」の増加額が3千億円超と大きく、それにより連結業務粗利益に占める割合が、25%→40%に増加したことがわかる。
- 23年の米国の利上げ、今年に入っての円金利の上昇により、資金利益が増加するのは自然な流れであり、三井住友のIR資料には業務粗利益の増加要因の一つとして「国内外の貸金収益増等」、三菱UFJにおいても「円金利上昇影響の取り込みや利ざや改善による資金収益の増加」といった金利上昇が業績に寄与した旨の説明があるが、みずほは「顧客部門が国内外ともに堅調に推移」と説明があるのみで、もう少し丁寧な説明がほしいところ。
21年上期連結業務粗利益の内訳(単位:億円) (カッコ内は粗利益に占める割合) | |||
三菱UFJ | 三井住友 | みずほ | |
資金利益 | 9,924 (50%) | 7,121 (50%) | 4,741 (43%) |
役務取引等利益 | 6,731 (34%) | 5,548 (39%) | 3,304 (30%) |
特定取引利益 +その他業務利益 | 2,436 (12%) | 1,615 (11%) | 2,744 (25%) |
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